やさしい日本語のニュースを授業で作る|書き換えの手順とポイント
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ご利用の前に
教材の文章は、報道記事の文章を写したものではありません。公開された出来事の事実をもとに、一から書き起こしたものです。
日本語能力試験のレベル(N5〜N1)は難しさの目安として示すもので、試験の主催者とは関係がなく、合格を保証するものではありません。
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その週の出来事を授業で扱うと、学習者は「今の日本」に触れられ、教室の話題も広がります。ただ、報道の文章は初級・中級の学習者には難しく、そのままでは使えません。そこで役に立つのが「やさしい日本語」の考え方です。この記事では、出入国在留管理庁と文化庁が2020年8月にまとめた「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」をもとに、出来事を学習者向けの読み物に書き換える手順を整理します。
やさしい日本語とは
ガイドラインでは、やさしい日本語を、難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮したわかりやすい日本語だと説明しています。日本語の美しさや豊かさを軽んじるものではなく、外国人、高齢者や障害のある人など、多くの人にわかりやすく伝えるためのものだとしています。もともとは国や地方公共団体のお知らせを想定した書き言葉のガイドラインですが、学校や企業でも使われることが期待されています。授業の読み物づくりにも、そのまま応用できます。
なお、ガイドラインは、対象の外国人の言語背景や日本語能力に応じて柔軟に調節する必要があるとして、あえて厳密な基準は示していません。授業で使うときも、クラスのレベルに合わせて、どこまで言い換えるかを先生が決めます。
書き換えの3つのステップ
ガイドラインは、やさしい日本語で伝えるときに、次の3つのステップが必要だとしています。
- 日本語を母語とする人が読んでもわかりやすい、簡潔な文章にする(情報を整理する・文をわかりやすくする・外来語に気を付ける)。
- 言葉をやさしく書き換えたり、漢字にふりがなをつけたりして、日本語がまだそれほど得意でない人にもわかりやすく直す(文・言葉・表記に気を付ける)。
- 作った文案を日本語教師や外国人に読んでもらい、伝わるかどうかを確かめる。
出来事を読み物にするときも、いきなり易しい言葉に置き換えるのではなく、まず何を伝えるかを決めて情報を絞ることから始めると、短くて筋の通った文章になります。
文・言葉・表記のポイント
ガイドラインに挙がっている主なポイントを、読み物づくりの場面に当てはめると、次のようになります。
| ポイント | ガイドラインの考え方 | 読み物での使い方 |
|---|---|---|
| 情報を整理する | 一言一句を元の文に対応させず、読み手に必要な情報に絞る | 出来事の「いつ・どこで・何が」を先に書き、細かい経緯は省く |
| 一文を短くする | 一文に言いたいことは一つだけにする | 長い文は分けて、接続詞でつなぎすぎない |
| 箇条書きを使う | 三つ以上のことを言うときは箇条書きにする | 数字や手順、並ぶ項目は表や箇条書きにする |
| 外来語に気を付ける | 適切な日本語がない場合のみ使う | カタカナ語は、学習者の母語の意味とずれていないかを確かめる |
| 略語を使わない | 略した言葉は元の言葉に戻す | 省略された組織名や制度名は、正式な呼び方で書く |
| 曖昧な表現を避ける | 「ごろ」「くらい」などを多用しない | 日付・時刻・数は、はっきり書く |
授業で使う読み物にする手順
- その週に公表された出来事を一つ選び、公表元の発表で事実(日付・数・名称)を確かめる。
- 報道の文章は写さず、確かめた事実だけを箇条書きにしてから、自分の言葉で文章を書く。
- クラスのレベルに合わせて語や文を言い換え、漢字に読み方をつける。
- 語彙表と、内容を確かめる問いを付ける。
- 同僚の先生や学習者に読んでもらい、伝わりにくい所を直す。
レベルの目安には、日本語能力試験の認定の目安が使えます。たとえばN3は、新聞の見出しなどから情報の概要をつかむことができるレベル、N2は、新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、論旨が明快な文章を読んで内容を理解できるレベルとされています。初級のクラスでは、言い換えを多めにし、文の数も少なくします。
書き換えるときに気をつけること
やさしく書くことと、内容を変えることは別です。言い換えの途中で数や日付がずれていないか、原因と結果を取り違えていないかを、最後にもう一度、事実の箇条書きと照らし合わせます。また、報道機関の記事の文章を少しずつ言い換えて使うのではなく、公表元の発表など事実の確認から書き起こすと、出典の扱いで迷いにくくなります。学習者に配る読み物には、話題の公表元の名称と日付を添えておくと、学習者が自分で調べるきっかけにもなります。
よくある質問
やさしい日本語とは何ですか?
出入国在留管理庁と文化庁のガイドラインでは、難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮したわかりやすい日本語と説明されています。外国人、高齢者や障害のある人など、多くの人にわかりやすく伝えるためのものです。
やさしい日本語には厳密な基準がありますか?
ガイドラインは、対象の外国人の言語背景や日本語能力に応じて柔軟に調節する必要があるとして、あえて厳密な基準は示していません。授業では、クラスのレベルに合わせて先生が言い換えの程度を決めます。
書き換えはどんな順番で進めますか?
ガイドラインでは、まず日本語を母語とする人にもわかりやすい簡潔な文章にし、次に言葉の言い換えやふりがなで外国人にもわかりやすく直し、最後に日本語教師や外国人に読んでもらって伝わるかを確かめる、という順番が示されています。
報道の記事を書き換えて授業で使ってもよいですか?
この記事では、記事の文章を少しずつ言い換えて使うのではなく、公表元の発表などで事実を確かめ、事実の箇条書きから自分の言葉で書き起こす方法をおすすめしています。
出典
- 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン(出入国在留管理庁・文化庁・2020年8月)
- N1~N5:認定の目安(日本語能力試験(国際交流基金・日本国際教育支援協会)・ウェブページ)
- 試験科目と問題の構成(日本語能力試験(国際交流基金・日本国際教育支援協会)・ウェブページ)
- よくある質問(日本語能力試験(国際交流基金・日本国際教育支援協会)・ウェブページ)
- 2021年度 海外日本語教育機関調査 結果概要(国際交流基金・2021年度)
出典の確認日:2026年10月15日
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